アメリカ史上最大規模といわれるナスダック元会長による巨額詐欺事件の被害が広がっています。ヨーロッパの大手銀行のほか、ハリウッドのスピルバーグ監督など、著名人の被害も明らかになりました。 詐欺容疑で逮捕されたマドフ容疑者の手口は、典型的な「ねずみ講」。「年平均10%の高利回り」「元ナスダック会長」の肩書きをうたい文句に集められた金は、実は、ほとんど運用されず、別の投資家の配当などに充てられていました。しかし、金融危機によって新たな資金が集まらず、事件が発覚したのです。 「金融危機による混乱がなければ、彼の犯罪は何年も続いていたかもしれない」(別の投資会社の副会長) マドフ容疑者の投資会社は、このビルの3つのフロアを占めていましたが、このうち事件の舞台となった17階は「聖域」と呼ばれ、入室を許されるスタッフはごく僅かだったといいます。 被害総額はおよそ4兆5000億円。世界的な不況の最中、ヨーロッパの複数の国の大手金融機関が数千億円の損失を出す可能性があるほか、映画監督、スティーブン・スピルバーグ氏の慈善団体や、メジャーリーグニューヨーク・メッツのオーナーなど、著名人の被害も次々明らかになりました。 「私たちの人生を真っ逆さまに転落させる、とても恐ろしい出来事です」(100万ドル投資した夫婦) アメリカではウォール・ストリートの「重鎮」による犯行が、投資家心理を冷やしかねず、長期的な相場への影響を懸念する声も出ています。今後は、マドフ容疑者が運営したような実態が不透明なヘッジ・ファンドに対する規制論議が高まりそうです。(16日10:30)