旧樺太で暮らしたある日本人一家の写真が、ロシアのエカテリンブルクで公開されました。
写真は旧樺太の大泊に暮らした日本人の一家を、3世代にわたって記録したもので、アルバムには106点の写真が残されています。
写真にはビールを飲みながら宴会を楽しむ様子や、我が子と家族で記念写真をとったものなど、今と変らない日本人の家族の風景が残されています。
アルバムはエカテリンブルクの出版社の関係者が、サハリンで偶然見つけました。貴重な記録をなんとか日本にいる遺族に返したいとの思いから、アルバムの複製を50部作成し、日本大使館などに寄贈しましたが、現在のところ何も手がかりがありません。
「大事なことはこの写真の家族を見つけることです。でもここはモスクワでも日本でもないので、あまり期待をしていません」(出版社社長、セイゲルさん)
エカテリンブルクは、モスクワから東に1600キロ。ロシアではアジアの「入り口」とされている都市です。それだけに展覧会には市民の関心が寄せられました。
「美しい写真展で気に入りました。貴重な情報を得ることができました」(女性)
「サハリンが日本と2つに分かれていたなど知らなかったことを多く学んだ。アルバムを手にして歴史を勉強したくなった」(男性)
「写真に残されている家族の歴史は、ロシアの歴史と重なる」。そんな思いが日本から遠く離れたエカテリンブルクの人たちを動かしています。名前すら分からない家族の写真を日本に返そうというエカテリブルクの人たちの思いは、ロシアと日本、この2つの国が同じ歴史の中にいることを図らずも教えてくれました。(26日05:47)