日本とロシアの間の重要課題を話し合う「戦略対話」が、初めて23日から2日間にわたりモスクワで開かれました。しかし、北方領土問題で両国間の溝を埋めるには、なお時間がかかることが浮き彫りになりました。
初めてとなる日本とロシアの戦略対話は、23日からモスクワのロシア外務省別館で始まりました。
「(これまで)2国間の外交的接触、そして協議の枠組みをふまえ、(今回の協議が)新しい1ページを開くものと思います」(ロシアデニソフ第一外務次官)
「21世紀の日ロ関係は、明るい日ロ関係でなくてはいけないと思います」(谷内外務事務次官)
日ロの実務者トップ同士の定期的な対話が実現したことは、両国の歴史を振り返っても前例のないことですが、その思惑の隔たりは隠しようがありません。
デニソフ第一外務次官は22日、「北方領土問題が議題になることはない」とロシア・メディアに話し、日本をけん制しました。
一方の谷内次官は同じ22日、モスクワでJNNの取材に次のように答え、あくまで意見交換に踏み切る考えを示しました。
「2国間問題の基本的立場をお互いに意見交換して、理解を深めようと」(谷内外務事務次官)
北方領土問題では去年から、該当面積を2分して分け合う「面積分割論」が専門家の間で議論されています。しかし、この解決方法を北方領土問題にあてはめることにはロシア側は否定的です。
さらにプーチン大統領は23日、後継者の次期大統領に自分の政策を継承することを求め、「それが国民の願いだ」と自信をみなぎらせました。
資源の確保と有効な活用、これを国益の第一とするプーチン路線の中に、北方領土問題を劇的に動かす要素を見つけることは、今は困難です。(25日04:53)