ラットを使った実験で、肝硬変を薬で完全に治すことに成功したと、札幌医科大学の研究グループがアメリカの科学雑誌に発表しました。
肝硬変は、肝臓の中である特定の細胞がコラーゲンを作ることで引き起こされます。札幌医科大学の新津洋司郎教授らは、そのコラーゲンを作るのに欠かせない1つのタンパク質に注目しました。
そして、最新の遺伝子工学を応用して、そのタンパク質の生成を抑える薬を開発。ラットに注射したところ、特定の細胞自体をなくしてしまうことに成功したということです。
その際、肝硬変のラットの肝臓の機能は回復し、肝硬変も消えてなくなり、副作用もみられなかったそうです。
「よりヒトへの応用に近い治療法、再生医療の1つでもある」(札幌医科大学新津洋司郎 教授)
肝硬変は、進行すると肝臓がんになる危険性が高いとされていますが、これまでは、肝硬変を完全に治すことは困難とされてきました。
新津教授は、この研究の成果を31日、アメリカの科学雑誌『ネイチャーバイオテクノロジー』に発表したものです。
まだ、動物実験の段階ではありますが、今後、臨床試験を行う予定にしており、ヒトにも効果があれば、画期的な新薬として実用化される可能性も高いのではと、期待されています。(31日08:59)