タイ南部では、イスラム過激派による襲撃で、これまでに、およそ2000人が犠牲になっていますが、その現地を視察したタイ国軍のトップが28日、JNNなどの取材に応じ、事件を主導する組織をいまだ特定できていない実情を明らかにしました。
ソンティ陸軍司令官は28日、視察先のタイ南部で会見をひらき、治安の悪化が続く南部情勢について自ら説明しました。
「事件を起こした実行犯を逮捕できても、その背後で事件を主導している組織まではまだ掴めません」(ソンティ陸軍司令官)
タイ南部では分離・独立を目指すイスラム過激派による爆発テロや襲撃事件が相次ぎ、この3年間でおよそ2000人が犠牲になっています。
イスラム教徒に広がる不公平感が背景にあるとみるタイ政府は、仏教系とイスラム系の学生との交流を進めるなどして、宗教観の融和をはかっています。しかし、14日には、バスへの襲撃で女子中学生を含む8人が犠牲になるなど、状況は悪化する一方です。
「過激派は事件の標的を罪のない一般人にまで拡げはじめています」(ソンティ陸軍司令官)
国民を脅かす南部の争乱の収拾は、支持率が低迷する暫定政権にとって最重要課題ですが、解決の糸口すら見つからないまま、犠牲者だけが増え続けています。(29日09:00)