世界同時不況への警戒感が強まる中、23日も株価が急落。平均株価は一時、今年の最安値を更新し8000円割れ寸前まで売り込まれました。今回の深刻な金融危機の影響は、思わぬ所にまで広がっています。
福岡県北部に位置する宗像市。人口9万人ほどの小さな町にも、金融危機の影響が及び始めています。
「想定外ですよね。本当に。突然降って湧いたようなことなんで」(不動産業者)
独り暮らし用の物件に今年の夏以降、急激に空き部屋が増えたと言います。
「150、160(戸)くらいの退去に立ち会ったという業者さんもいるんで、実際(5月以降)200(戸)は軽く出てるでしょう」(赤間情報館加賀田 英敏さん)
宗像市では4、5年前に始まったワンルームマンションやアパートの建設ラッシュが続いていますが、今は家賃を下げても空き部屋が埋まらない、と地元の業者は嘆きます。
一方、近くのコンビニエンスストアでも、若い男性客が急に減ってしまったと言います。
「アルコール類が、ビールなんか(売り上げが)半減しましたね」(コンビニのオーナー)
店の売り上げは、去年に比べ3割もダウン。一体、この町に何が起きているのでしょうか。
大手自動車メーカーの工場を次々と誘致した、九州北部。主に海外向け自動車の生産拠点として成長して来ましたが、ここにきて状況が一変したのです。
「アメリカの影響でこういうことになった・・・」(コンビニのオーナー)
工場周辺には自動車メーカーの派遣社員も多く住んでいますが、夏以降、契約を解除されるケースが出始めています。
アメリカの景気悪化で日本からの輸出に急ブレーキがかかり、生産計画が見直されているのです。
震源地のアメリカでは状況はより深刻で、最大手のGMですら株価がこの1年で10分の1に暴落するなど経営危機に陥っています。
「ここにはルノーもあればGMもフォードもある」(江南特殊産業野田泰義 社長)
自動車の内装品用の金型を製造しているこちらの会社。世界最高水準の技術力を誇り、海外からも注文が相次いでいました。しかし去年、GMなどの下請け会社が突然の倒産。代金回収できないままです。
「今後も(倒産が)起きる可能性は十分あると思いますよね」(江南特殊産業野田泰義 社長)
自動車産業に支えられているこの町でも、話題は景気の先行きばかりです。
「会社がよくなって給料も上がって、それではじめて我々おさがりをもらえるわけだから」(居酒屋の店主)
「僕達は待ち仕事ですから待つしかないですね、お客さんを」(居酒屋の店主)
いつになったら景気の悪化に歯止めがかかるのか、出口はまだ見えてきません。(23日15:50)