中国の胡錦濤国家主席は、8日は早稲田大学で行われた青少年の交流を促進するための行事に出席しました。講演では日本のODA=政府開発援助に対する感謝を明言するとともに、青少年交流について早稲田の学生100人を中国に招きたいと述べました。
「フリーチベット!!!フリーチベット!!!」(中国政府への抗議デモ)
抗議と歓迎の声が入り混じる中、8日午後、講演会場の東京・新宿区にある早稲田大学に到着した胡錦濤国家主席。「大隈講堂」の周辺には、チベット問題をめぐる中国政府の対応に抗議するグループの呼びかけで、およそ200人が集まり、「チベットに自由を!」などと抗議の声をあげました。
こうした反中国のグループと中国を支持するグループの衝突や、右翼による抗議活動が懸念されたため、警視庁は、機動隊やSP、私服の警察官などおよそ500人を周辺に配置。今回の来日日程の中でも最大の厳戒態勢で警備にあたりました。
中国の国旗を引きずりおろそうとした男性らが警察官に制止されるという一幕もありましたが、逮捕者やけが人は出ませんでした。
「日本の対中円借款が中国の近代化建設に積極的な役割を果たしました」(中国胡錦濤国家主席)
胡錦濤主席は午後3時半から早稲田大学で行った講演でこのように述べて、中国の国家主席として日本の円借款に感謝の意を表しました。
円借款について、日本側からはこれまで、「受け取るだけ」との批判が出ていましたが、今回、こうした批判に配慮する形で感謝の念を正式に表明したとみられます。
その上で、胡錦濤主席は「30年間の改革開放政策によって、中国は大きな発展を遂げたが、まだ世界最大の発展途上国である」として、さらに近代化への努力を続けると述べました。
「日中両国の青年の皆さんへ、日中友好の未来は皆さんによって開かれるものです」(胡錦濤国家主席)
また、日中友好を推進するために青少年が交流して理解を深める必要性を強調。日中青少年友好交流年にあたる今年、100人の早稲田大学生を中国訪問に招待することを明らかにしました。胡锦涛は共産主義青年団時代の1984年に、日本の青年3000人を受け入れた経験などを披露し、「時間は変えられても友情を変えることはできない」と、その意義を強調しました。
この後、胡錦濤主席は、福田総理とともに大学内のカフェテリアに登場。日本と中国の若者およそ100人の歓迎を受ける中、卓球の北京オリンピック代表・福原愛選手と対面すると・・・。
「ちょっと(卓球を)やってみましょう」(胡錦濤国家主席)
愛ちゃんと中国のトップクラス・王選手のペアを相手に、胡錦濤主席は、ひるむことなく白熱のラリーを繰り広げました。
「今日まいた種は必ず日中友好関係の大きな“木”へと成長します。日中両国の国民の友好関係が世々代々受け継がれていくことを願います」(胡錦濤国家主席)
「私は、一緒に卓球しないでよかったと思いますよ。非常に戦略的な卓球でございまして、これはなかなか油断してはならないなと思いました」(福田首相)
(08日17:54)
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