「経営再建待ったなし」の状況に追い込まれている日本航空ですが、6日、大幅なコスト削減を柱とする中期経営計画を発表しました。
6日に発表された日本航空の再建策。3年間でグループの従業員4300人を削減。ボーナス・退職金のカットなど「コスト削減」が柱です。
節約の波はこんなところにまで及びました。社長室をはじめ役員用の個室をなくし、専用の車も廃止するというのです。さらに、「松本-札幌」「福岡-青森」といった国内線10路線の廃止。また、関連商品の販売などにあたる子会社JALUX株の一部売却や、国内外の7つのホテルも売却する方針を決めました。
一足先にリストラに踏み出したライバルの全日空は過去最高利益を更新。水をあけられた形の日本航空も再建計画をもとに何とか追撃を目指します。
世界に羽ばたく「ニッポンの翼」。鶴のマークはかつて信頼の証でした。しかし、ここ数年相次いだ運航トラブルに内紛問題。顧客離れに加え、燃料費の高騰も追い討ちをかけ、赤字が拡大しました。
「もうステージが上がってしまっている。何が何でもそれをやらざるを得ない、やらないと後がないというぐらいの意識で」(日本航空・西松社長)
6日に発表した再建策をもとに、日本航空は取引銀行に対し総額600億円の融資を要請。銀行側も応じる方針です。
「『業績を改善しないと自分達に明日はない』という危機感が必要。ANAに対して業績の格差を縮めるんだという危機感を持っていかないと業績回復はしないんじゃないか」(新生証券・松本康宏アナリスト)
目標に掲げた500億円の人件費削減。実現には、現場の従業員の協力が不可欠です。
「(銀行の)融資を受ける条件として、賃金カットであるとか職場の人間の労働条件を切り下げるということになれば、これは安全を再建し、信頼を取り戻すために頑張るべき社員がモチベーションを低下させてしまうんではないか。いま一番経営者に望みたいのは、しっかり安全への投資をしてもらいたいということですね」(日本航空機長組合・清田均執行委員長)
こうした声に対し経営側は、役員報酬の大幅カットを示し、痛みへの理解を求める方針です。
「世界に通用する競争力のある航空会社を作っていくには、削減も仕方がないかなって」(利用者)
「安全に飛んでくれればいいな」(利用者)
安全と利益という2つの重い課題。2009年度には羽田・成田の発着枠も大幅に増え、新しい空の時代が来ます。「ニッポンの翼」は、輝きを取り戻せるのでしょうか。(06日19:18)