復興のための増税、その具体策が見えてきました。民主党の税制調査会は、所得税や法人税、たばこ税などを一定期間引き上げる増税案を了承しました。たばこは1箱40円以上の値上げとなりますが、被災者はどのように感じているのでしょうか。
もめにもめた問題が、ついに決着しました。「復興増税」をめぐる、税制調査会の議論です。26日まで強硬に反対していた議員たちは、27日もその姿勢を崩しませんでした。
「デフレ、円高、不況の中での増税は、あくまで慎重であるべきと百歩譲った形で提案もしたが、 受け入れられなかった」(民主党・川内博史衆院議員)
それでも、最終的に了解を得る決め手となったのは、「増税開始の時期」でした。当初の案では、法人税は2012年4月から3年、たばこ税は2012年10月から10年、所得税は2013年1月から10年、住民税は2013年6月から5年、増税することにしていました。それを、住民税の増税次期を予定よりも1年間ずらし2014年6月からにすることで反対議員の理解を求めたのです。
「なんとかこの場で結論を出さなないといけない。結論を出すことが与党の責任です」(民主党・藤井裕久税調会長)
総会の最後に、こう同意を求めた藤井税調会長。一部の議員からは採決を求める声も上がったが、最終的には了解の拍手が上回ったといいます。
「長いことやっていると最後にはトラブルみたいなことがあるのは当然考えていた」(民主党・藤井裕久税調会長)
今回、政府・民主党が決めた案はこうです。来年以降、法人税や所得税などを引き上げ、11兆円を超える財源を捻出します。所得税については、年収500万円で子供1人の家庭の場合、年間で4900円の増税となります。また、たばこ税については来年から1本あたり2円引き上げ、1箱あたり40円以上の値上げとなります。
しかし、このたばこ税の引き上げに憤る人がいました。
「たばこを増税しても安定的な財源にはなり得ない」(JT・志水雅一副社長)
JT・日本たばこ産業の志水副社長。去年10月に1本あたり3.5円値上げとなったばかりです。
「410円というたばこの値段は 牛丼250円と比較すれば今や高い物。(増税には)反対をしてまいりたい」(JT・志水雅一副社長)
被災地・福島でこの案について聞きました。
「被災した人たちも税金を負担するとなったら大変」(男性)
「これは自分で選択できる部分。その方が不公平感はない」(男性)
「出せる人はしっかりと 負担していくしかない」(男性)
紆余曲折の末に決まった増税案ですが、民主党はさらに増税幅を減らすことを模索しています。政府の持つ株式などを売却して財源に充てる、「税外収入」を増やそうというのです。
「増税で負担をお願いする分を少し圧縮したり」(民主党税調・古本伸一郎事務局長)
特に期待しているのが、日本郵政の株式の売却です。政府の持つ日本郵政株の価値は9.6兆円。売却すれば数兆円の財源となります。
ただ、藤井税調会長は実現に向けたハードルがあると指摘していました。
「法律改正なんです。法律改正には全党の了承が必要」(民主党・藤井裕久税調会長)
日本郵政株は、現在、法律で売却が凍結されています。売却するには法律の改正が必要ですが、野党の協力が得られる見通しはたっていません。
「非常に法改正は慎重に構えないといけない」(民主党・藤井裕久税調会長)
依然として不透明な、財源確保の方法。その一方で、今後の歳出は増える方向となりました。
「(第3次補正予算案の)合意した総額は約12兆円でございます」(民主党・前原誠司政調会長)
27日の夜、政府・民主党は今年度の第3次補正予算案を総額12兆円規模とすることを決めました。これまで11兆円規模で調整してきましたが、民主党側の増額要求を受け入れました。さらに、税外収入についても当初の5兆円から2兆円積み増すことを決めました。(27日21:18)