大洪水が首都圏に広がるタイのインラック首相は23日、地元メディアに対し「大規模な冠水から中心部を守れるかどうか分からない」と述べ、市民に改めて警戒を呼びかけた。タイ政府によると、洪水による死者は23日までに356人。浸水した首都バンコク北部にあるドンムアン空港内には、周辺地区から着の身着のまま逃げてきた約4000人が殺到。巨大なテント村が作られているが、既に許容範囲を超えている。政府は押し寄せる避難者に対処できない状況に陥っている。
バンコクでは22日に都心部で初めて浸水が見られたが、決壊した川の堤防が補修され、23日には水が引いた。だが、インラック首相は「水の流れの制御が難しく、今後首都にどのような被害が出るか分からない」と予断を許さない状況であることを強調した。
都心部の浸水は在留日本人社会にも衝撃を与え、断水や疫病の恐れから、社員らに一時帰国を促す日本企業の動きが広まっている。
ドンムアン空港では、現在使われていない旧国際線出発ロビーいっぱいにテント村が広がる。バンコク北方のパトゥムタニ県に住むウィラワンさん(38)は18日、夫と2人で逃げてきた。「来たばかりのころは混乱状態だったが、今は簡易トイレも設置され、何とか住める」と話す。食品企業ネスレのインスタントコーヒー製造工場に勤めていた。「家も工場の機械もすべてが水につかってしまった。インラック首相は6週間で水が引くと言ったが、元の生活に戻るまでには、もっと時間がかかる」と語った。
空港の周囲の道路は20~30センチほどの高さまで冠水し、車が水しぶきを上げながら走る。パトゥムタニ県から家族4人で逃げてきた無職の男性マナトさん(54)は「押し寄せる水の量は増えるばかり。それでもここに住めるだけ、運が良いのかもしれない」と話した。
この日、テント村を視察したウィタヤ保健相は、記者団に、「家や生活の糧を失った人々の心のケアが大事だ。長期にわたってカウンセリングなどを行う必要がある」と語った。
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◆首都圏(しゅとけん):首都圈
◆無職 (むしょく):无职◆視察 (しさつ) :视察