“被告”の立場が続くことになりました。先月、1審で無罪が言い渡された民主党・小沢一郎元代表の裁判で、検察官役の指定弁護士は判決を不服として、9日午後、控訴しました。事件は東京高等裁判所で改めて審理されることになります。
「3人で協議した結果、控訴することにしました」(指定弁護士 大室俊三 弁護士)
先月26日の無罪判決から2週間。検察官役を務めた3人の指定弁護士は、9日午前11時から、検察庁にある執務室で最後の話し合いを行い、全員一致で控訴することを決めました。
「1審判決には看過しがたい事実誤認があり、それは十分修正できるとして控訴します」(指定弁護士 大室俊三 弁護士)
元秘書らと共謀して、政治資金収支報告書にうその記載をした罪に問われた小沢氏。注目を集めた1審の判決は、小沢氏が収支報告書の記載について、「報告を受け、了承した」ことは認めたものの、「違法性を認識していなかった可能性がある」などとして、元秘書らとの共謀を認めず、無罪を言い渡しました。
指定弁護士に、この判決を覆し、有罪を勝ち取るだけの新たな証拠はあるのでしょうか。
「追加の証拠はこれから検討するが、既存の証拠でも原判決の誤りを十分指摘できる」(指定弁護士 大室俊三 弁護士)
「控訴審の裁判官を説得できる相当程度の自信がある」(指定弁護士 村本道夫 弁護士)
一方、元秘書の石川議員は控訴は意外だったと悔しさをにじませました。
「控訴しないと思っていたので驚いてます。控訴で(政治に)混乱が続くことは残念に思っています」(石川知裕 議員)
また、小沢氏の弁護団の1人は「新しい証拠もない中で控訴するとは大変遺憾な判断だと思う」とコメントしています。
東京地検特捜部が2度にわたり「不起訴」とし、1審でも「無罪」が言い渡された今回の事件。「共謀」のハードルを越えて、逆転有罪判決が出る可能性はあるのでしょうか。
「控訴審(2審)で積極的に有罪にする可能性は高くない。どちらかというと(有罪になる可能性は)低い。報告、了承を認めるのであれば、当然うすうすながらも違法性の意識があるでしょうと、そうしたことをどんどん積み上げていく。新たな主張が展開されると思います」(元東京地検特捜部副部長 若狭勝 弁護士)
「1審で言った以上のことは出てこないと思う。ただ同じ証拠でも(裁判官によって)見解の相違というのはあり得ます。それが無罪を有罪にひっくり返すようなものかといえば、それは違うと思います」(元裁判官 山室惠 弁護士)
引き続き被告の立場におかれることになった小沢氏。2審では、小沢氏に出廷の義務はありませんが、被告人質問があれば小沢氏は再び証言台の前に立たされることになります。(09日16:35)
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